在留資格とは?日本で働くには?
Question:
日本で長期間住むためには、「在留資格」というものをとらないといけないと聞きました。
そもそも「在留資格」とはどんなものでしょうか?
「在留資格」を持っていれば、日本で働くことも可能でしょうか?
Answer:
日本では「出入国管理及び難民認定法」という法律で、日本における外国人の活動の内容に着目し、27種類の「在留資格」を定めています。「在留資格」は、外国人が日本において一定の活動を行って在留するための「入管法」上の資格(法的地位)です。
「在留資格」はいくつかの基準により分類することができ、大きく分けると、「活動類型資格」と「地位等類型資格」に分けられます。「活動類型資格」と「地位等類型資格」は共に外国人が日本で行う活動内容に着目して定められている在留資格という点では共通ですが、活動自体を類型化したものか、それとも活動の根拠となる身分又は地位を類型化したものかの違いがあります。各在留資格の種類は次の通りです。
「活動類型資格」
「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「技能」、「技能実習」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」、「特定活動」の一部。
「地位等類型資格」
「永住者」、「日本人に配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」、特別永住者。
さらに「活動類型資格」は「就労可能」な資格と「就労不能」な資格に分類されます。入管法は違法な資格外活動を「活動類型資格」にのみ規制をしており、「地位等類型資格」をもって活動する外国人にたいしては、規制をしていません。そのため、「地位等類型資格」を持って在留する外国人は、無制限に就労活動をすることができます。
例えば、日本人と結婚して、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人は、公序良俗に反するような仕事でなければ、どのような仕事にも就くことができます。
以上のように、日本で働きたい場合には、「活動類型資格」の「就労可能資格」や、「地位等類型資格」を取得する必要があります。個々の状況によって、取得できる在留資格の可能性を様々な視点から考える必要がありますので、専門家にご相談されることをお勧めいたします。
日本の企業が外国にいる外国人を雇い入れるには?
日本で会社を経営する方からの質問です。
Question:
私は日本で輸出入等の会社を経営しているのですが、仕事で英語を必要とする為、日本語と英語を使える外国人を雇いたいと思っています。知り合いに紹介してもらった外国にいる外国人を日本に呼びたいのですが、そのための手続をするにはどうすればよいでしょうか?
Answer:
日本の企業が外国人を雇うために外国から外国人を呼び寄せるために、申請人の居住予定地若しくはその代理人の居住地あるいは受入企業の所在地を管轄する地方入国管理局において「在留資格認定証明書」の交付申請を行うことができます。
「在留資格認定証明書」とは入管法7条1項2号で規定されている「活動の真実性、在留資格該当性及び上陸許可適合性」の条件を満たすことについて、「短期滞在」の在留資格で上陸する場合を除き、あらかじめ、法務大臣に認定を求めることができるという制度です。実務上は「短期滞在」の在留資格で上陸する場合を除き、この「在留資格認定証明書」の交付を受けないと日本に上陸することは難しいです。ですから、外国人を呼び寄せたい場合、
①日本に上陸しようとする外国人(申請人)が外国にいる間に受入企業や代理人が「在留資格認定証明書」の申請をして事前に法務大臣の審査を受け、「在留資格認定証明書」の交付を受ける。
②「在留資格認定証明書」を申請人に送り、それをもって本国にある在日本国領事官等で査証申請をする。
簡単に言うと①、②の手順で行います。ただし、「在留資格認定証明書」が直接証明するのは、入管法7条1項2号に掲げる条件(活動の真実性・在留資格該当性・上陸許可基準適合性の要件)のみですから、入管法7条1項2号以外の上陸のための条件に適合しない場合には、査証が発給されず、上陸は許可されないことになりますので注意が必要です。査証が発給され、上陸時に「在留資格認定証明書」を提示した外国人は入国審査官から在留資格に関する上陸のための条件に適合する者として扱われるので、上陸審査も簡易・迅速に行われます。(在留資格認定証明書には有効期限があります。交付された日から3ヶ月以内に上陸申請をしないと効力が失われるので注意が必要です。)
「在留資格認定証明書」交付申請は上記の通り、入管法7条1項2号に規定されている「活動の真実性・在留資格該当性及び上陸許可基準適合性」を証明しなければなりません。その申請人の個々の状況に応じて証明する書類や内容が違いますので、しっかりとした理論と計画に基づいた申請をする必要があります。
留学生がアルバイトをしたい時はどのような手続をとればいいか?
日本に留学している学生さんからの質問です。
Question:
日本に留学している大学生です。アルバイトをしたいのですが、どのようにしたら良いかわかりません。
Answer:
日本の「出入国管理及び難民認定法」では、「活動類型資格」を持って在留している外国人が、自身の持つ在留資格の「在留資格該当性」がない活動であって、当初の在留目的の活動を行いつつ、その傍らその本来の活動の遂行を阻害しない範囲で他の収入を伴う事業を経営する活動又は報酬を受ける活動(就労活動)を行おうとする場合には、「資格外活動許可」を受けなけれならない。と定められています。
資格外活動許可の要件としては
- 本来の在留目的の活動の遂行を妨げない範囲内であること。
- 相当性
です。
①は、外国人が現に有する在留資格に該当する活動を引き続き行う事を前提とし、その傍ら本来の活動に支障を及ぼさない範囲内で別の活動に従事するものでなければならないということを意味します。②は、外国人の入国目的及び在留の状況、内外の社会情勢、日本国の出入国管理政策との整合性等を総合的に考慮して判断されます。日本の出入国管理政策上、在留資格ごとに外国人受け入れの趣旨が異なるので、いかなる場合に資格外活動の相当性が許可されるかは、在留資格ごとに異なることになります。日本国は一定の技術・知識を要しない「単純労働」の活動に従事しようとする外国人を受け入れない政策をとっているため、資格外活動許可申請の内容が「単純労働」である時は、それが本来の在留目的の遂行を妨げない範囲内の活動であったとしても、原則として許可されません。
しかし、留学生のアルバイト活動については、留学生の本国と日本の所得格差の存在等の事情や、日本では学生が学業に支障をきたさない範囲でアルバイトをすることがほぼ社会通念上認められている社会背景から、単純労働であっても、一定の条件下で「相当性」が認められ、包括的に許可される扱いになっています。
ですから、留学生や、「留学」等の在留資格をもって在留する外国人が、学費その他の経費を補う目的でアルバイトを行う場合は、管轄の入国管理局へ資格外活動許可申請を行い、資格外活動許可証を取得することで、所定の範囲内でのアルバイトが許可されます。
日本人と結婚して日本にすむためにはどのような手続が必要?
中国に住む女性からの質問です。
Question:
私は現在中国に住んでいる女性です。日本人の男性と知り合い、交際を経て結婚することになりました。日本に入国してから結婚しようと思っています。「日本人の配偶者等」の在留資格をとりたいのですが、どうしたら良いですか?
Answer:
外国人が日本に入国してから婚姻しようという場合、まだ婚姻は成立していませんので、上陸する際に、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「家族滞在」には該当しません。まだ結婚しておらず、婚約者として入国する場合、在留資格は「短期滞在」になります。
日本にて結婚後、在留資格変更許可申請を行なうことになりますが、「短期滞在」からの変更は困難を伴うことが多いです。なぜなら、法律上の婚姻関係が成立していても、同居し、互いに協力し、扶助しあって社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実体を伴っていない場合には、日本人の配偶者としての活動を行うものとは言えず、在留資格該当性がみとめられないからです。
日本の民法では婚姻は「両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真しな意思をもって共同生活を営むことを本質とする」と定義されており、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得する際にもこれが基準となっていると思われます。ですから、「短期滞在」から「日本人の配偶者等」へ在留資格変更申請をする場合、交際の経緯等に疑念を抱かれる場合が多く、配偶者と出会った経緯、交際のきっかけ、結婚するに至ったプロセス等をいろいろな書類等で証明する必要があり、また今後の日本での生活等も必要書類を揃えて証明した上で、理由書において丁寧に説明する必要がある可能性がありますので、十分に注意して申請することをお勧めいたします。
重国籍の対処方法は?
中国の方と結婚されている日本人からの質問です。
Question:
私は日本人男性です。家内が中国人で、出産のため国に帰っておりましたが、この程無事に男の子を出産し、その息子と共に日本に戻ってきたのですが、在留期間更新手続のため入国管理局に行った際、窓口で職員さんに「息子さんも在留期間更新しないとオーバーステイになりますよ」と言われました。確かに息子の入国の際に中国のバスポートを使っているので、そのパスポートには「短期滞在」(90日)の在留資格のシールが貼られています。息子についても在留期間更新や「日本人の配偶者等」への在留資格変更が必要なのでしょうか?
Answer:
結論から申しますと、お子さんについては在留期間の更新も在留資格変更も必要ありません。国籍法2条1項は出生による国籍の取得について、「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」は日本国民であると規定しています。
さらに14条では「外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなった時が20歳に達する以前であるときは22歳に達するまでに、その時が20歳に達した後であるときはその時から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。」と規定されております。
この場合、お子さんはいわゆる日本と中国の重国籍の状態にあると思われますが、先程の国籍法14条の規定に照らせば、お子さんが22歳になるまでの間に中国又は日本のどちらかの国籍を選択すれば良いことになります。そして、国籍を選択するまでの間についても、当然に日本国民として扱われます。
ただ、このまま放置しておくのも収まりが悪いので(考えられる不利益としては再度中国パスポートを使用して入国しようとした場合に上陸審査に手間取ることが考えられます。)、このような場合は、入国管理局で在留資格抹消の手続を取ることをお勧めいたします。
日本の再婚禁止期間に中国で結婚。これって無効?
日本人の男性からの質問です。
Question:
私は日本に住む日本人男性です。日本で中国人の彼女ができたのですが、彼女は離婚してまだ6ヶ月経っていないので、私と結婚ができず配偶者ビザが更新できない状態でした。
しかし彼女が友人から中国でなら今すぐ結婚できると聞いたと言うので、半信半疑ながら結婚に必要な書類一式を持って中国に行きましたが、驚くことに問題なく結婚できてしまいました。しかし、日本で在留資格を取得する際にそれを指摘されるのではないかと心配しています。やはり無効なのでしょうか?
Answer:
日本の民法第733条1項は、「女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない」と規定されており、平成28年の改正により、6ヶ月から100日に短縮されました。
よって、現在では日本で婚姻する場合、婚姻当事者の一方が日本人であれば、お相手が中国人であって、その本国法に待婚期間の定めがない場合でも、女性は前婚の解消又は取消しの日から起算して100日経過する前には婚姻できません。
しかし今回のように中国での婚姻となると話は別です。中国には待婚期間の定めがありませんので、婚姻拠挙行地の法律により離婚から6ヶ月以内での再婚が可能です。
しかしながら婚姻が有効か無効かの問題はさておき、日本の入国管理局には奥様の前婚に係る申請の記録が存在しております。
現在の在留資格がどのような状態になっているのか不明な点がありますので、詳しいことは申し上げられませんが、在留資格認定証明書交付申請をしようとする場合には、ご主人との出会いの経緯、前婚の離婚の経緯、今回の婚姻の経緯等を十分に説明できなければ、不交付処分となることも考えられますので注意が必要です。ご不明な点が多いと思いますので、専門家にご相談されることをお勧めします。
日本に住むアメリカの方からの質問です。
Question:
日本の会社に就職しようと思っていますが、就職しようとする会社から働いても良いという証明書を提出するように言われました。どんな手続をしてどんな証明書をもらえばいいのでしょうか?
Answer:
この場合、就労資格証明書交付申請をして、就労資格証明書の交付を受けてください。就労資格証明書とは、日本に在留する外国人からの申請に基づき、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(就労活動)を法務大臣が証明する文書です。
入管法73条の2は、不法就労外国人を雇用したり、その雇用につきあっせんを行う等して、外国人の資格外活動や不法残留を助長した者を処罰する不法就労助長罪を規定しているので、企業等が外国人を雇用等する場合にはその外国人が日本で就労する資格があるのか否かについてあらかじめ、明確に確認したいという要請があります。他方、外国人本人も就職等の手続きをスムーズに行うためには、自分が就労可能な在留資格を有していることを雇用主等に明らかにする手段があれば便利です。
外国人が日本で合法的に就労できるか否かは、旅券に押された上陸許可証印等のほか、在留カード等を見ることによっても確認することができます。しかし、具体的にどのような活動が認められているかについては入管法別表に記載されている各在留資格に対応する活動を参照しないと判然としない場合もあります。例えば、就労資格の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格について、在留資格該当性がある活動範囲を正確には知らない雇用主の方が一般的ではないかと思われます。
そこで、入管法19条の2第1項は、雇用主等と外国人の双方の利便を図るため、外国人が希望する場合には、その者が行うことができる就労活動を具体的に示した就労資格証明書を交付することができることとし、雇用しようとする外国人がどのような就労活動を行うことができるのか容易に確認できるようにしました。この就労資格証明書自体は外国人が就労活動を行うことができる根拠とはなりませんし、これがなければ外国人が就労活動を行うことができないというものではありません。そして入管法19条の2第2項ではこの就労資格証明書を提示しないことにより、雇用の差別等の不利益な扱いをしてはならない旨が規定されています。しかし、雇用主等と外国人の双方の利便を図るための任意に利用できる手段ですので、雇用主等との関係を構築するために積極的に利用されることをお勧めいたします。